授業の概要・到達目標
社会的・文化的につくられた男女の違い(性差)をジェンダーという。ジェンダーは、人々の意識や社会の仕組みに深く組み込まれていて、人々の生き方や関係性を規定してきた。
講義では、高度経済成長期から現在までの成人期のライフコースとジェンダーの関係を振り返り、「男は仕事、女は家事・育児」といった性別役割分業が、現在もなお、人々の生き方を規定していること理解すると同時に、そうした構造が、異性愛の家族のあり方を前提にし、女性が働き続けること、男性が子育てや介護にかかわることを難しくしており、女性の経済的自立を、また、男性の生活自立を妨げてきたことを理解する。
さらに、そうした社会的な課題を背景とした人々のニーズへの対応と、課題解決に向けた取組みを重ねてきた女性関連施設の歴史や取組を知り、成人後の学びとジェンダーの問題への取組みの実践例を学ぶ。また、ジェンダーの問題の重要なテーマとして、DV(ドメスティック・バイオレンス)や性暴力の課題について学び、そうした課題の解決に向けた、実践例を知る。また、多様な学習者の学びを保障するにはどのような取組みが求められるのかを、障害のある女性をテーマに掘り下げる。
後半は、女性関連施設等での成人後の学習を経た女性たちが展開する地域活動の具体例から、持続可能な活動のあり方や、そのサポートのあり方について考え、学習と実践の結びつきや課題について考える。
この授業では、全体を通して、実践記録等を読み合い、ジェンダーの視点から自己変革・社会変革をめざす市民のとりくみを「学習」としての側面からとらえなおし、支援者の役割について考える。
授業内容
第1回:この授業の進め方・自己紹介
第2回:ライフコースとジェンダー①―高度経済成長期から現在まで―
第3回:ライフコースとジェンダー②―続く女性のM字型雇用―
第4回:女性関連施設での学び①―相談・学び・実践―
第5回:女性関連施設での学び②―ピアとの出会い場―
第6回:女性関連施設での学び③―ニーズの変化と対応―
第7回:男性問題への取組み
第8回:DV(ドメスティック・バイオレンス)防止と被害者支援の取組み
第9回:性暴力防止の取組み
第10回:障害のある女性たちと学び
第11回:地域活動と女性たち①―学びから実践へ―
第12回:地域活動と女性たち②―持続可能な取組みの模索―
第13回:学びと実践を支える仕組みを考える
第14回:レポート提出―グループで読みあう―
履修上の注意
・この授業では、グループに分かれて実践記録等を読むこと、話し合うこと、レポートすることなどに取り組む。
・この授業と合わせて「ジェンダーと教育A【学校教育とジェンダー】」を履修することが望ましい。おとなと子どもの世代にわたって、ジェンダーが再生産されていることを、互いに関連づけて考えるためである。
準備学習(予習・復習等)の内容
・ジェンダーに関する問題は、一つの正解があるわけではない。授業中に学生間で、あるいは学生―教員間で、意見の違いがあった時、「なぜ自分は/相手はそう思うのだろう」と考えてみよう。
教科書
参考書
成績評価の方法
・グループ活動の小レポート(20%)と、最終レポート(80%)による。
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