Oh-o! Meiji

シラバス

年度 2020 年度
授業科目名 法務研究科  ジェンダーと法Ⅰ
担当教員 清野 幾久子  教授 単位数 2
開講日 春学期/火曜日/4限 キャンパス 駿河台
科目ナンバー
(LS)LAW671J
主催区分 LS:法務研究科 授業形態 1:講義
学問分野(大区分) LAW:法学 授業言語 J:日本語
レベル 6:大学院(修士・専門職) 発展的な内容の科目
学問分野(小区分) 7:新領域法学

授業の概要・到達目標

男女共同参画社会基本法は,「男女が,互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮できる社会」(男女共同参画社会)の実現を,「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」として位置づけている。しかし実際には,性差についての固定観念(ステレオ・タイプ)や偏見(ジェンダー・バイアス),性別役割分業に由来する不合理な差別が,日本社会の至る所に存在し,男女の平等な社会参画を阻んでいる。このことは,司法や法学の領域でも例外ではなく,判例・学説あるいは法曹実務家の意識のなかにもジェンダー・バイアスが現存する例が指摘されることが多い。このため「ジェンダーと法Ⅰ・Ⅱ」では,既存の法制度や判例等を再検討することで,法曹実務家に強く要求されるジェンダー・センシティヴな問題意識を養い,ジェンダーの視点から法学研究を深めることをめざす。
とくに「ジェンダーと法Ⅰ」では,ジェンダー法学の展開と課題をみたうえで,日本国憲法と平等,リプロダクティブ・ライツ,女性の政治参画,主要国のジェンダー平等政策,雇用におけるジェンダー平等と判例の展開,家族に関する法改正と判例の展開,刑法改正と性犯罪等について,それぞれの科目を専門とする教授陣が講義を行う。ジェンダー法自体は司法試験科目ではないが,憲法・民法・労働法・刑法等の科目にも対応するためこれらの履修に必要な検討を行う。
これにより,日本の男女共同参画社会基本法や憲法14条の性差別禁止原則等の実現状況を確認するとともに,受講生が自ら様々な政策・施策について意見を持つ思考態度を身につけ,法曹のみならず,企業や地方自治体等においても必要とされる紛争解決能力や政策形成能力を養うことを目標とする。

授業内容

第1回:イントロダクション
序論―「ジェンダーと法」を学ぶ意義
ジェンダー法学の課題〔教科書第1章〕
学術におけるジェンダー・バイアス〔第11・12・14章〕
 (担当 清野幾久子教授[憲法学])
(担当 辻村みよ子元教授(ゲストスピーカー)[憲法学・ジェンダー法学])
第2回:フェミズムとジェンダーをめぐる法哲学的課題
  (担当 小林史明専任講師[法哲学])
第3回:性的マイノリティ(LGBTQ等)と法
(担当 小林史明専任講師[法哲学])
第4回:男女共同参画社会基本法と世界各国のジェンダー平等政策〔第2・3章〕
  (担当 辻村みよ子元教授(ゲストスピーカー)[憲法学・ジェンダー法学])
第5回:政治とジェンダー〔第4章〕
  (担当 辻村みよ子元教授(ゲストスピーカー)[憲法学・ジェンダー法学])
第6回:日本国憲法の平等原理〔第5章〕
  (担当 安西文雄教授[憲法学])
第7回:性差別に関わる判例の展開,ポジティヴ・アクションの違憲審査基準〔第1~3,5章〕
(担当 安西文雄教授[憲法学])
第8回:憲法13条とリプロダクティブ・ライツ〔第10章〕
(担当 清野幾久子教授[憲法学])
第9回:憲法25条と社会保障〔第8章〕
(担当 清野幾久子教授[憲法学])

第10回:雇用とジェンダー〔第7・8章〕
  (担当 野川忍教授[労働法学])
第11回:男女雇用機会均等法と判例の展開
 (担当 野川忍教授[労働法学])
第12回:家族とジェンダー〔第9章〕
(担当 平田厚教授[家族法学])
第13回:家族をめぐる近年の判例
  (担当 平田厚教授[家族法学])
第14回:性犯罪と2017年刑法改正
  (担当 内山良雄教授[刑事法学])

履修上の注意

「ジェンダーと法Ⅰ」では,各分野の専門の教授によるオムニバス形式で講義を行う。具体的な講義の進め方,各回の担当者,成績評価の方法の詳細については第一回の授業で説明する。
「ジェンダーと法Ⅰ」は,「ジェンダーと法Ⅰ・Ⅱ」のなかで総論的・基本的な理論的問題を扱うため,「ジェンダーと法Ⅱ」の履修に際しては,「ジェンダーと法Ⅰ」から履修することがのぞましいが,「Ⅰ」が履修できない場合にも「Ⅱ」の履修は可能である。

準備学習(予習・復習等)の内容

 各分野の専門家によるオムニバス授業となる。本シラバスに回数毎に教科書の該当箇所を示しているので,受講にあたっては,予め該当箇所を読んで内容を理解しておいてほしい。

教科書

辻村みよ子『概説 ジェンダーと法―人権論の視点から学ぶ〔第2版〕』(信山社,2016年)
その他,適宜コピー配布等を行う。

参考書

講義中に適宜紹介する。

成績評価の方法

レポート点に,平常点(講義中の発言や議論参加度など)を加味して判定する。その比率は,レポート70%,平常点30%とする。成績評価基準は,①問題発見能力・分析能力,②問題解決能力,③発表能力である。

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