Oh-o! Meiji

シラバス

年度 2020 年度
授業科目名 ガバナンス研究科  政策研究Ⅷ-E
担当教員 小林 良樹  特任教授 単位数 2
開講日 春学期/木曜日/7限 キャンパス 駿河台
科目ナンバー
(GS)POL628J
主催区分 GS:ガバナンス研究科 授業形態 8:2つ以上の形態併用
学問分野(大区分) POL:政治学 授業言語 J:日本語
レベル 6:大学院(修士・専門職) 発展的な内容の科目
学問分野(小区分) 2:行政・地域行政学

授業の概要・到達目標

【授業概要】
本科目(「テロと暴力」)では,テロリズムに関連する基本的な理論上の論点を取り扱います。例えば,テロリズムの定義,テロ発生のメカニズム,テロ対策上の諸問題,極右テロの動向等が主なテーマとなります。
2001年の米国における911テロ事件以降,テロ及びテロ対策の問題は,我が国のみならず各国において重要な政策課題の一つとなっています。こうした情勢を正確に把握し理解するためには,関連する学術的な理論を踏まえるとともに,テロの背景にある実際の社会情勢・国際情勢等を理解する必要があります。さらに,こうした状況への対処に当たっては,「安全と権利自由のバランス」を視野に入れるなど,ガバナンス論的な視点がますます重要になっています。

【到達目標】
本講義を受講することにより,各受講生は以下の知識,技能を取得することが期待されます。
(1)テロ及びテロ対策に関する学術理論上の基本的な概念を理解し,説明することができる。
(2)テロ及びテロ対策に関する学術理論上の基本的な論点の所在を理解し,説明することができる。
(3)日常的に発生しているテロ事案及びテロ関連報道等の背景事情を,学術理論に基づき理解し,説明することができる。
(4)テロ対策に関して,学術理論に基づく適切な政策提言を考え,説明することができる。

【講義手法】
本講義は,担当教員による解説と,受講生によるクラス討論を併用します。

授業内容

【イントロダクション】
第01回
: シラバスの説明, テロ研究の意義
第02回
: 最近の国際テロ情勢と東京オリンピック
【基礎理論】
第03回
: テロとは何か (参考:Sandler 1 & 6, Bakker 1)
第04回
: テロの歴史 (参考:Bakker 2)
第05回
: なぜテロは発生するのか ~ テロ発生のメカニズム (参考:Sandler 2, Bakker 4)
第06回
: テロをめぐる諸相 ① テロの非対称性とは (参考:Sandler 5)
第07回
: テロをめぐる諸相 ② テロ組織とは,ホームグローン・ローンウルフとは (参考:Sandler 3)
第08回
: 効果的なテロ対策とは何か (参考:Sandler 4, Bakker 5)
【中間課題】
第09回
: 学生の中間報告
【応用編】
第10回
: イスラム過激派組織(アルカイダ,「イスラム国」)の歴史
第11回
: 米国の国内テロ情勢 ~ 極右テロ情勢を中心に
第12回
: 日本のテロ対策~インテリジェンス・コミュニティを中心に
第13回
: テロ研究の今後の課題 (参考:Sandler 7, Bakker 6)
【総括・期末課題】
第14回
: 全体の総括
第15回
: 学生の期末報告

履修上の注意

特にありません。ただし,テロやその背景にある国際情勢,社会情勢(国際紛争,社会分断等)等への関心を持っていることが望ましいと思います。

準備学習(予習・復習等)の内容

【リーディング・アサインメント】
毎回の授業の出席に当たっては,各種参考文献等 (※必要に応じて予め配布又はOh-o! Meiji のクラスページに掲示します) に事前に目を通し,授業中の議論に積極的に参加できるよう準備を行なって下さい。

【時事問題に関する自由討論】
毎回の授業の冒頭10-15分間,テロあるいは国際情勢に関連する最近の時事問題に関して自由討論を行ないます。日頃から犯罪に関するニュース報道等に関心を払い,議論に積極的に参加できるよう準備を行なって下さい(※下記のとおり,評価の対象になります)。

【事後コメントの提出】
毎回の授業の終了後24時間以内に,授業内容を踏まえた事後コメント(自分自身にとっての新しい気付き,疑問点等)を提出して下さい。提出は,Oh-o! Meiji のクラスページ内のディスカッション機能を通じて行います。提出したコメントの内容及び教員からのフィードバックは全履修生に共有されます(※下記のとおり,評価の対象になります)。

教科書

特にありません。
毎回のリーディングアサインメントは授業内に事前に配布します。
なお,担当教員執筆のテキストが2020年6月~7月頃に刊行される予定です。

参考書

以下は,英語文献を通じて更に学習を深めたい学生向けの参考文献です。必須ではありません。(同じテーマを扱う英語コースの講義「Terrorism and Political Violence」では以下が指定の教科書及び参考書となっています。)。
・Sandler, Todd (2018), Terrorism - What Everyone Needs to know (Oxford University Press)
・Bakker, Edwin (2015), Terrorism and Counterterrorism Studies - Comparing Theory and Practice (Leiden University Press)
・Forest, James (2019), Terrorism Lectures (Third Edition) (Nortia Press)
・Martin, Gus (2019), Essentials of Terrorism: Concepts and Controversies (Fifth Edition) (SAGE Publications)

成績評価の方法

・平常点(授業中の議論への貢献等):30% (上記の「時事問題に関する自由討論」,「事後のコメントの提出」も評価の対象に含みます。)
・プレゼンテーション(中間,期末の2回):30%
・タームペーパー:40% (約5,000~6,000字目途。テーマは授業内容を踏まえて各受講生自身に自由に選択して頂きます。)

その他

テロの問題は多くの日本人学生にとって非日常的でイメージが湧きにくい事象かもしれません。しかし,テロの背景には,国際紛争,格差,差別,貧困,分断,個人の孤立等の多くの社会事象が関係していると考えられます。同時に,テロ対策の問題は,ガバナンス研究全体に底通する諸要素(公的アクターと私的アクターの協働の問題,各アクター間のコスト配分の問題,安全と権利自由のバランスの問題,市民の政治参画の問題等)を多く含みます。その意味で,テロ研究は,様々な社会事象とガバナンス研究の全体像を鳥瞰する上での 「少し違ったもう一つの切り口」と言えるかもしれません。

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