Oh-o! Meiji

シラバス

年度 2020 年度
授業科目名 ガバナンス研究科  政策研究Ⅷ-B
担当教員 小林 良樹  特任教授 単位数 2
開講日 春学期/水曜日/7限 キャンパス 駿河台
科目ナンバー
(GS)POL628J
主催区分 GS:ガバナンス研究科 授業形態 8:2つ以上の形態併用
学問分野(大区分) POL:政治学 授業言語 J:日本語
レベル 6:大学院(修士・専門職) 発展的な内容の科目
学問分野(小区分) 2:行政・地域行政学

授業の概要・到達目標

【授業概要】
本科目(「犯罪対策とガバナンス」)では,犯罪情勢及び犯罪対策に関する諸問題を,犯罪社会学・公共政策学等の学術理論を踏まえつつ,主に私的アクター(私企業,NPO,地域社会,個人等)の視点から考察します。
近年の我が国における犯罪情勢は,いわゆる特殊詐欺の問題,サイバー犯罪の問題,犯罪のグローバル化,再犯の問題,犯罪被害者支援の問題等以前にも増して複雑な課題に直面しています。こうした諸情勢を正確に把握し理解するためには,関連する学術的な理論を踏まえるとともに,犯罪の背景にある実際の社会情勢(グローバル化,高齢化,デジタル化等)を理解する必要があります。
一方,こうした状況への対処に当たっては,政府・地方自治体等の公的アクターのみならず,私的アクター(私企業,NPO,地域社会,個人等)を交えた自助,共助の実現がますます重要となっています。さらに,実際の施策の検討に当たっては,ガバナンス論的な視点,すなわち,各アクター間の適切な役割分担,コスト負担等を具体的に検討することが求められています。

【到達目標】
本講義を受講することにより,各受講生は以下の知識,技能を取得することが期待されます。
(1)犯罪対策に関する学術理論上の基本的な概念を理解し,説明することができる。
(2)犯罪対策に関する学術理論上の基本的な論点の所在を理解し,説明することができる。
(3)日常的に発生している各種犯罪事案及び犯罪関連報道等の背景事情を,学術理論に基づき理解し,説明することができる。
(4)犯罪対策に関して,学術理論に基づく適切な政策提言を考え,説明することができる。

【講義手法】
本講義は,教員による解説と,受講生によるクラス討論を併用します。

授業内容

【イントロダクション】
第1回
:シラバスの説明,社会安全政策論とは(教科書:第1章)
【犯罪情勢総論】
第2回
:日本の犯罪情勢と犯罪の原因①(教科書:第1~第3章)
第3回
:日本の犯罪情勢と犯罪の原因②(教科書:第1~第3章)
第4回
:政府の犯罪対策と諸問題(教科書:第1~第3章)
第5回
:第1~4回までのまとめ(社会安全政策論とは),政策論・ガバナンス論の基礎(教科書:第4章)
第6回
:警察組織と民主的統制(教科書:第8章)
第7回
:新しい課題~犯罪被害者支援,再犯防止(教科書:第9章)
第8回
:事例演習(教科書:第10~第12章)
【中間課題】
第9回
:学生中間発表
【犯罪情勢各論】
第10回
:少年の非行,少年の犯罪被害(教科書:第5章)
第11回
:犯罪のグローバル化(教科書:第6章)
第12回
:サイバー犯罪等(教科書:第7章)
第13回
:国際テロ情勢
【総括・期末課題】
第14回
:総括
第15回
:学生期末発表

履修上の注意

特にありません。授業では,犯罪社会学,公共政策学等の学術理論にも言及しますが,事前知識等は特段不要です。

準備学習(予習・復習等)の内容

【リーディング・アサインメント】
毎回の授業の出席に当たっては,教科書の該当箇所(※上記の授業内容参照)及びその他の文献等 (※必要に応じて予めOh-o! Meiji のクラスページに掲示します) に事前に目を通し,授業中の議論に積極的に参加できるよう準備を行なって下さい。

【時事問題に関する自由討論】
毎回の授業の冒頭10-15分間,犯罪に関連する最近の時事問題に関して自由討論を行ないます。日頃から犯罪に関するニュース報道等に関心を払い,議論に積極的に参加できるよう準備を行なって下さい(※下記のとおり,評価の対象になります)。

【事後コメントの提出】
毎回の授業の終了後24時間以内に,授業内容を踏まえた事後コメント(自分自身にとっての新しい気付き,疑問点等)を提出して下さい。提出は,Oh-o! Meiji のクラスページ内のディスカッション機能を通じて行います。提出したコメントの内容及び教員からのフィードバックは全履修生に共有されます(※下記のとおり,評価の対象になります)。

教科書

『犯罪学入門:ガバナンス・社会安全政策のアプローチ』(2019), 小林良樹(慶應義塾大学出版会)

参考書

犯罪学関連
『入門 犯罪心理学』(2015),原田隆之(筑摩書房)
『犯罪学リテラシー』(2017),岡本英生・松原英世・岡邊健(法律文化社)
『犯罪・非行の社会学―常識をとらえなおす視座』(2014),岡邊健(編著)(有斐閣)

政策学関連
『政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法』(2011), 伊藤修一郎 (東京大学出版会)
『公共政策学の基礎 新版』(2015), 秋吉貴雄・伊藤修一郎・北山 俊哉(有斐閣)
『信頼学の教室』(2015), 中谷内一也(講談社現代新書)

成績評価の方法

・平常点(授業中の議論への貢献等):30% (上記の「時事問題に関する自由討論」,「事後のコメントの提出」も評価の対象に含みます。)
・プレゼンテーション(中間,期末の2回):30%
・タームペーパー:40% (約5,000~6,000字目途。何らかの施策提言を作成して頂きます。テーマは授業内容を踏まえて各受講生自身に自由に選択して頂きます。)

その他

犯罪の問題は誰にとっても比較的イメージが容易であることから,犯罪学や刑法の事前知識がなくても,比較的取り付きやすいテーマだと思います。同時に,犯罪対策の問題は,ガバナンス研究全体に底通する諸要素(公的アクターと私的アクターの協働の問題,各アクター間のコスト配分の問題,安全と権利自由のバランスの問題,市民の政治参画の問題等)を多く含みます。その意味で,当科目をガバナンス研究科における学習全般の入門的な科目に位置付けて頂ければ幸いです。

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