Oh-o! Meiji

シラバス

年度 2020 年度
授業科目名 国際日本学部  ジェンダーと表象A
担当教員 藤本 由香里  教授 単位数 2
開講日 春学期/水曜日/4限 キャンパス 中野
科目ナンバー
(GJ)GDR211J
主催区分 GJ:国際日本学部・国際日本学研究科 授業形態 1:講義
学問分野(大区分) GDR:ジェンダー 授業言語 J:日本語
レベル 2:学部 発展的,応用的な内容の科目
学問分野(小区分) 1:ジェンダー

授業の概要・到達目標

表現を分析する際にはジェンダー論的な視点が不可欠になってきているのが世界の趨勢である。本講義ではとくに,非常に高度な発展を遂げた女性の表現ジャンルとして世界的な関心を集めつつある日本の「少女マンガ」やBL (ボーイズラブ) に注目する。
なかでも少女マンガにおける「性別越境」 (LGBTQ) の表現は世界でも稀に見る達成をとげており (BLもそこから発展してきた),いまやそれが海外にも広まりつつある。社会的にも「同性婚」や「LGBT」が大きな話題になりつつある中,Aでは,社会の認知に先行して発展してきた日本の少女マンガにおける性別越境表現の歴史的経緯や現状も含め詳しく分析する。

授業内容

第1回a イントロダクション~少女マンガと「性別越境」
第1回b イントロダクション~少女マンガと「性別越境」
第2回 男装の少女
第3回 女装の少年1:女性誌の場合
第4回 女装の少年2:男性誌の場合
第5回 トランス:入れ替わる男女
第6回 男同士の愛~「少年愛」の誕生
第7回 〃 ~「やおい」の成立と展開
第8回 〃 ~「BL:ボーイズラブとその展開」
第9回 「少年愛・やおい・BL」をめぐる議論の整理
第10回 タブーだったレズビアン
第11回 明るいレズビアンの登場
第12回 女どうしの絆
第13回 IS/ ジョン・マネーの双子の症例とその批判
第14回 ジェンダーとは何か?

履修上の注意

第1回と第14回はとくに原理的な説明をしますので,必ず出席すること。 (最後がゲスト講義の場合は,その前がまとめになります)
この講義では特に,前回の講義への反応であるコメントペーパーを積極的に紹介していきます。それを通して,自分が思っている「当たり前」が当たり前ではなく,じつは同じ教室の中にもさまざまな考え方,立場の人がいることを実感してもらいたいと思っています。いわば,ディスカッションに代わるものとしてコメントペーパーの紹介を位置付けます。
「性別」を扱うということは,性的な用語も出てくるということです。そのことは予め断っておきます。

準備学習(予習・復習等)の内容

とくに準備をする必要はありませんが,講義を受けた後,興味をひかれた参考文献を読むなど,自分なりの学習を深めていくことが求められます。
とりわけ,講義を聞く中でも,生物学的な性・性自認・ジェンダー・性指向の違いに敏感になってください。
「同性愛」と,「性同一性障害」 (心の性と身体の性が一致しない) と,「異性装」 (女装・男装) は,三つとも原理的にまったく違うことです。この三つをごちゃ混ぜにしないこと。それだけはとくに意識的に理解してください。それが最低限の到達目標です。

教科書

『私の居場所はどこにあるの?』藤本由香里 (朝日文庫)
『BLスタディーズ』 (ユリイカ増刊,青土社)
『百合文化の現在』 (ユリイカ,2014年12月号,青土社)

参考書

『やおい小説論』永久保陽子 (専修大学出版会)
『BL進化論』溝口彰子 (太田出版)
『ゲイという経験』伏見憲明 (ポット出版)
『性の署名』ジョン・マネー,パトリシア・タッカー (人文書院)
『ブレンダと呼ばれた少年』ジョン・コラピント (無名舎

成績評価の方法

学期末に提出してもらうレポートが基本であるが,それに,毎回の講義の最後に書いてもらう小レポートを加味して評価を行う。
とくに,生物学的な性・性自認・ジェンダー・性指向の違いに敏感になること。「同性愛」と,「性同一性障害」 (心の性と身体の性が一致しない) と,「異性装」 (女装・男装) とは,三つとも原理的にまったく違う存在です。これをごちゃ混ぜにしないこと。それが最低限の到達目標ですので,これがまったく理解できていないと,落ちる可能性が高いと考えてください。

その他

積極的な発言や質問は評価するが,授業中の私語は厳に慎むこと。

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