授業の概要・到達目標
伝統的な法律学をジェンダーの視点から見直すのが「ジェンダーと法」である。ジェンダーに中立な法律とは,現実にありうるのだろうか。「ジェンダーに中立」とは何かを考えながら,各法律分野を見直してみると,今まで気づかなかった問題が見えて来るであろう。それは,日本の問題に限らず,世界の問題でもある。
本講義を通じて,ジェンダーの視点から,日本と世界の法律問題を具体的に把握できるようにする。Ⅱでは,とくに,女性に対して有害な慣習について勉強しよう。「名誉殺人」,「名誉犯罪」という言葉を聞いたことがあるだろう。いまだに,女性であるがゆえに信じられないような状態に置かれている人々がいることを知ろう。ダイバ―シティ(多様性)とジェンダーの問題も知って,より幅広い価値観を身につけてほしい。
授業内容
各回のテーマは次のとおりである。
第1回:イントロダクション:男女共同参画社会基本法
第2回:男女共同参画社会条例~東京都と埼玉県~
第3回:1325国内行動計画~日米地位協定・米軍基地・難民女性~
第4回:性暴力(1)刑法改正~強かん罪~
第5回:性暴力(2)DV・デートDV
第6回:性暴力(3)セクハラ等のハラスメント
第7回:性暴力(4)有害な慣習~名誉殺人~
第8回:性暴力(5)有害な慣習~FGMなど~
第9回:人身売買・買売春~性の商品化・アダルトビデオ出演契約問題~
第10回:少年法とジェンダー~虞犯少年~
第11回:リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(1)~刑法堕胎罪~
第12回:リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(2)~病気と差別~ハンセン病・エイズ
第13回:性の多様性⑴ セクシュアル・ライツ LGBTIQ
第14回:性の多様性⑵ 全性愛
*授業内容は必要に応じて変更することがあります。
履修上の注意
毎回の授業時に配付する「リアクション・ペーパー」は、必ず提出すること。授業に対する質問・疑問・意見・批判などを、自由に書いてください。批判などを書いても,不利に評価はしないので、真摯に、自由に、書いてほしい。平常点の評価のもとになるものである。「リアクション・ペーパー」は、本授業を、次回から、より良くするためのものであり、「双方向授業」のためのツールである。
常に,テレビ等のニュース,新聞,雑誌記事などに関心を持つこと。
内閣府男女共同参画局や法務省などのサイトに随時アクセスすることが望ましい。
テーマに関連するゲスト講師の招聘を、2・3回予定している。例:テーマ LGBT、性暴力被害当事者
準備学習(予習・復習等)の内容
復習として、授業時に配付した資料を読んでおくこと。
授業時に扱った問題を、具体的・立体的に把握するために、授業で紹介した小説や映画に触れること。
一例を挙げると、映画『チョコレート・ドーナツ』である。この作品は、ゲイやダウン症の子どもを通して、マイノリティの問題を、セクシュアリティと障害の視点からの問題を、交差的(複合的)に取り上げているので、必見である。
教科書
参考書
授業内で,随時,配付予定。
角田由紀子著『性と法律』岩波新書
成績評価の方法
平常点40%,中間レポートと期末レポート30%、期末試験レポート30%
その他
ジェンダーと法IIのみの履修を可とする。
*履修希望者が300名以上の場合は抽選を行う。
指導テーマ
秋学期は、とくに、ジェンダーに基づく女性に対する暴力を中心に学ぶ予定である。
再度の刑法改正、アフターピルのOTC化などを、学生の皆さんと一緒に考える。
進行計画
春学期には出来なかったが、秋学期は、オンラインで授業を行う予定であり、レポートの課題は中間と期末と期末試験のみである。
毎回、授業後、100字程度の感想を、アンケートに書いてもらう予定である。
春学期には見送ったが、外部講師の講演を2回予定している。Zoomでの予定。現在、交渉中。
「刑法改正と性暴力(課題)」 山本潤先生(Spring代表)
「キャバクラ嬢の実態について(課題)」布施えり子先生(キャバクラユニオン共同代表)
Page Top