授業の概要・到達目標
伝統的な法律学をジェンダーの視点から見直すのが「ジェンダーと法」である。ジェンダーに中立な法律とは,現実にありうるのだろうか。「ジェンダーに中立」とは何かを考えながら,各法律分野を見直してみると,今まで気づかなかった問題が見えて来るであろう。それは,日本の問題に限らず,世界の問題でもある。
「平等」を考えてみよう。形式的平等と事実上の平等。交差差別(複合差別)も、視野に入れて、ダイバーシティ(多様性)も考えて行こう。ジェンダーとともに、セクシュアリティ・障害・人種・民族・年齢などのダイバーシティにも留意して、法を複眼的に見て行く。
本講義を通じて,ジェンダーの視点から,日本と世界の法律問題を具体的に把握できるようにする。Ⅰでは,とくに国際人権法を国連の組織を理解するとともに、学んで行こう。法律を批判的に研究することを通して,「リーガル・リテラシー」の実践を行う。
授業内容
各回のテーマは次のとおりである。
第1回:イントロダクション:国連とジェンダー~UNウィメン・ILOなど~
第2回:国際人権法⑴ 女性差別撤廃条約
第3回:国際人権法⑵ 女性差別撤廃条約一般勧告
第4回:国際人権法⑶ 選択議定書―個人通報制度と調査制度
第5回:国際人権法⑷ 事例紹介⑴
第6回:国際人権法⑸ 事例紹介⑵
第7回:ジェンダーギャップ指数~日本は何位か?~ 女性議員を、どう、増やすか
第8回:労働とジェンダー⑴ 雇用機会均等法
第9回:労働とジェンダー⑵ ILO条約と国内法
第10回:労働とジェンダー⑶ 裁判例の紹介ー住友裁判など
第11回:労働とジェンダー⑷ ペイエクイティのワークショップ
第12回:社j会保障とジェンダー~第3号被保険者・配偶者控除~
第13回:家族法とジェンダー⑴ 婚姻と夫婦別姓
第14回:家族法とジェンダー⑵ 離婚と子ども
*授業内容は必要に応じて変更することがあります。
履修上の注意
授業終了時に、毎回、「リアクション・ぺーパー」を提出すること。「リアクション・ペーパー」には、授業に対する質問・疑問・意見・批判などを、自由に書くことを求める。次回以降の授業を、より良いものとするために、書いてもらう。教員と学生の双方向授業の、ツールである。批判等を書いても、不利に評価はしないので、本当に自由に書いてほしい。毎回の授業時の、「リアクション・ペーパー」の提出が、平常点となる。
レポートは、中間レポートと期末レポートがある。
試験は、試験期間中に行う。
常に,テレビ等のニュース,新聞,雑誌記事などに関心を持つこと。
内閣府男女共同参画局、法務省、および国連(UN)などのサイトに、随時アクセスすることが望ましい。
テーマに関連するゲスト講師の招聘を、予定している。キャバクラ・ユニオン共同代表布施えり子氏、ペイエクイティについて屋嘉比ふみ子氏。
準備学習(予習・復習等)の内容
復習に関しては、授業時に配付する資料を読むこと。
授業時に紹介する、映画や小説に触れることをお勧めする。問題を、具体的・立体的に把握できるようにするためである。
一例としては、アメリカ映画『ボーダータウン 報道されない殺人者』である。この作品は、女性差別撤廃条約・選択議定書・調査制度のメキシコ・ケースを映画化している。また、同じような問題を扱っている、アメリカ映画『ボーダーライン1・2』も、時間があれば、見ておいてほしい。
教科書
参考書
成績評価の方法
平常点20%,中間レポートと期末レポート30%、期末試験50%
その他
ジェンダーと法Ⅰのみの履修を可とする。
*履修希望者が300名以上の場合は抽選を行う。
指導テーマ
進行計画
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