この科目は学位授与方針に定められた A（幅広い基礎知識と応用能力）に関与する。
　工学者として実験手法を身につけることは必須である。この科目では実験・実習を行い，その過程を体験することによって，講義における様々な基礎知識の理解を深める。あわせて実験の計画遂行能力と得られた結果の考察能力を養成する。
到達目標：
・機械工学に関する基礎的な実験実習を行い，コンピュータ，情報，計測・制御，メカトロニクス，電気，力学の基礎を理解する。
・実験装置を使うための基礎的手順と注意事項を理解する。
・工学レポートの書き方，実験ノートの書き方を習得する。

［第１回]　実験ガイダンス（全体説明と安全講習），各研究室の実験
［第２回～13回]　各研究室の実験
［第14回]　プレゼンテーション
〈共通実験１〉
　デジタル電子回路実験：ブレッドボード装置を用いて，論理回路の特性試験及びカウンタ回路製作を行う。
〈フライス盤・ホブ盤実習〉
１．旋盤実習：旋盤による「ブッシュとピンの製作」をとおして，旋盤の構造と機能を理解する。
２．フライス盤，ホブ盤実習：フライス盤による「V 型ブロックの製作」をとおして，工作機械の母性原理を理解する。また，創成歯切り法，歯車の寸法管理について学び，標準歯車と転位歯車を製作する。
〈メカトロニクス実験〉
１．流体抵抗：流体はエネルギの伝達媒体として利用されるが，流路を通過すると抵抗を受けエネルギ損失を発生する。このような流体抵抗の存在と流れの違いによる特性を確認する。
２．気体による信号伝達速度：気体は伝達媒体としても利用される。流体の圧力変化が信号として伝達するときの速度を，流体スイッチを使った発振回路をつかって調べる。
〈機械力学実験〉
　一自由度振動系の自由振動と強制振動：ばね・質点からなる一自由度振動系および片持ちはりを自由振動させて固有振動数を調べる。また，空気ダンパが取り付けられた一自由度振動系を強制振動させて共振と減衰を調べる。
〈生体情報工学実験〉
　空胴共振器によるマイクロ波加温：含水物質に吸収された電磁波はその物質の温度を上昇させる。空胴共振器内に発生する電磁波モードを利用し，生体組織に類似した筋肉等価寒天ファントムの加温実験を行う。同ファントム内の温度分布を計測し，加温パターンを確認する。
〈環境情報実験〉
　小型分光器を用いた様々な光のスペクトル計測：USB モジュール化された小型分光器を用いて，白熱電球，蛍光灯，水銀灯，レーザーなどの様々な光の分光スペクトルを計測し，背景にある物理現象について考察することで，分光計測法の基本的な原理と工学的価値を理解することを目的とする。
〈計測工学実験〉
　超音波・レーザを利用した距離計測：超音波センサの動作原理を理解し，送・受信パルス波形から対象物体までの距離が計測できることを確認する。また，レーザ距離計による計測結果と比較し，誤差について考察する。
〈情報統計学実験〉
　視覚・味覚の官能検査：視覚及び味覚を用いた官能検査を行う。８種類の緑茶飲料の見た目の好ましさの評価の一致性の確認及び，８種類の緑茶飲料にそれぞれの官能特性（好ましさ，渋さ）の差があるかどうか考察する。
〈材料システム実験〉
１．はりのたわみ：はりのたわみを計測する実験を行う。単純支持はりに集中荷重を負荷した際のたわみの計測結果から材料のヤング率を同定することを通して，材料力学で学んだ理論を確認する。
２．応力集中：応力集中の計測を行う。穴の開いた板状試験片の引張試験でひずみを測定し応力集中を確認するとともに，その危険性および機械・構造物の安全性について考察する。
〈マニピュレーション実験〉
１．AD 変換と DA 変換及び簡単な信号処理：２進数と16進数の理解。コンピュータへの電気信号の AD 変換実験，コンピュータからの電気信号出力の DA 変換実験を行い，信号処理におけるノイズ除去法の理解とコンピュータを用いた計測・制御を理解する。
２．PLC による論理回路：論理演算回路の演習を PLC（Programmable Logic Controller）を用いて行う。得られた真理値表から論理関数を導出し，カルノー図をつかって簡約化した後プログラムで動作確認する。

●持参物
　テキスト（電子版，要印刷はプリントアウトして持参すること），実験専用ノート（5 mm または10 mm のセクションノート）名前を書いておくこと。筆記用具，関数電卓，定規。名札（１年次に配布済み，持参しないと減点の対象，同等品であれば可）。
●服装
　実験室（工場を含む）毎に安全に対する対処の仕方が異なるので，”安全の手引き”を確認して実験に臨むこと。動きやすいもの，実験中は帽子・垂れ下がるもの（マフラ，アクセサリ，袖飾など）禁止，工場ではサンダル履き，半ズボン禁止（安全靴等に履き替える），爪も切った方がよい。実験着・作業着を準備することが望ましい。
●実施予定
　班毎に各研究室に分かれて実施
　当該実験テーマの内容及び注意事項を熟読し実験に臨むこと
　事前に研究室の場所を確認しておくこと
　実験を欠席した場合は単位取得が難しいので，できる限り休まないこと
　交通ストライキ，悪天候等のやむを得ない事情で実験が実施できなかった場合は，原則的に全体の予定を１週間繰り下げる
　休講，スケジュール変更，プレゼン等の追加情報は本ウェブサイトに案内するので注意すること
　各班の実験最終日（補講を除く）にノートチェックを行う

●予習書
　事前にテキストを熟読して各実験の予習書を作成すること。実験当日午後１時30分までに各実験（研究室）指定の場所に提出する。各実験の予習書はダウンロードして使うこと。
●レポート
　表紙はダウンロードし，A4 紙，ホッチキスで左端2か所綴じ，筆記用具（ボールペン，パソコン使用や鉛筆書きの可否）は研究室で指示することがある。注意事項にある“実験レポートの書き方”を熟読して作成すること。締め切りは，実験翌週月曜日午前10時50分まで。

　テキストは以下 URL からダウロードすること
　http://www.messe.meiji.ac.jp

　実験毎でレポートおよび予習書の内容が採点され，プレゼンテーションの評価を加えた平均値が60点以上を合格とする（レポートは定期試験と同じ扱いとし，期限までに提出しない場合採点対象にならない）。名札の有無，遅刻は減点とする。他人のレポートを写した（コピー）と判断された場合には，カンニングと同じ扱いとする。

●オフィスアワー相談時間
　各実験担当教員に問い合わせること。
●連絡先
　共通実験１　　　　　　：阿部　居室4216A　　実験室　4216B
　工作実習１・２　　　　：内田　　　　　　　工作工場　5110
　メカトロニクス実験　　：小山　居室5102　　　実験室　5101
　機械力学実験　　　　　：松岡　居室4111　　　実験室　4110
　生体情報工学実験　　　：加藤　居室4304A　　実験室　4304B
　環境情報実験　　　　　：相澤　居室4209　　　実験室　4209
　計測工学実験　　　　　：石原　居室5105B　　 実験室　5104A
　情報統計学実験　　　　：永井　居室4208　　　実験室　4207B
　材料システム実験　　　：有川　居室D101　　　実験室　D102
　マニピュレーション実験：小澤　居室4212　　　実験室　 4211